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失業

失業

失業(しつぎょう、)とは、仕事を失うことおよび働く意思も能力もあるのに仕事に就けない状態を指す。

特に、仕事が無い状態を指す無職(むしょく)のうち、就業に向けた職探しを行っている者の状態を指し、そのような状態の者を失業者(しつぎょうしゃ)と言う。日本など一部を除いて北欧の福祉国家でさえも青年失業率が20%から下がらないことがOECD加盟国で大きな問題になっている。
失業は、社会が持つ労働力を最大限活用するという観点からも問題がある。
この項の説明は、おおむね、日本での定義(世界のものと比べて狭義の失業)に基づいてのものである。失業率の計算方法は各国それぞれ異なる。
労働力人口に対する失業者数の割合を失業率と言う。→#失業率
失業率は、
というの二つの側面がある。また失業率は経済構造によっても変動する。→#景気等との関係
日本における完全失業者とは働く能力と意志があり、しかも本人がハローワークに通うなど実際に求職活動をしているにもかかわらず、就業の機会が社会的に与えられていない失業者のことを指し、失業率の算定にも用いられる。よって以下の者は厚生労働省の定義する失業者とはならない。
失業には自発的失業、摩擦的失業、非自発的失業の3様態がある。この分類は、ジョン・メイナード・ケインズによってなされたものである。
失業者 = 自発的失業者 + 摩擦的失業者 + 非自発的失業者
社会で職を求める人が、すべてが職についている状態を完全雇用という。「完全雇用」とは「失業者が一人もいない」ということではなく、一定の摩擦的失業の存在を含んだ状態のことをいう。潜在成長率が、実際の経済成長率と等しくなった場合、「非自発的失業」は無くなるとされている。
失業を発生要因別に、需要不足失業、摩擦的失業、構造的失業の3種類に分類できる。
新古典派経済学やマネタリストの見解では、市場経済が機能することで労働者の需要と供給は一致し、求職者はすべて職を得ることが可能となるとする。ただし、ケインズ経済学は市場メカニズムは短期的には上手く働かないと指摘しており、非自発的失業が発生するとしている。非自発的失業はケインズによって発見されたものであり、非自発的失業の存在を認めるかどうかについては、ケインズ経済学的立場と新古典派的立場の間で意見が分かれる。
労働市場では、家計が労働を供給し、企業が労働を需要する。労働の需給が一致するときに現実の雇用量と賃金が決まる。労働市場では、賃金が高ければ、企業は雇用を減らし労働者は供給を増やす。新古典派経済学は、賃金が労働の需給を一致させるように決まると考えるため非自発的失業は存在しないとする。名目賃金の低下は、労働の供給が需要を上回るときに起きる。
これは新古典派が、価格の自在な伸縮によって全ての売れ残りの解消が可能とするセイの法則を前提として、失業者は現在雇用されている労働者よりも低い賃金を提示して職を見付けることが可能であるとするためである。賃金価格の下落によって失業が解消されないのは、その賃金以下では働かないという労働者の選択に唯一の原因があるとする。
これに対してジョン・メイナード・ケインズのマクロ経済学は、有効需要の不足が失業発生の理由とみなした。ケインズ経済学では、「賃金は硬直的なので、需要と供給が一致することはない」とされる。ケインズ経済学では、労働市場では賃金の下方硬直性があるため失業は存在する。また、財・サービス市場においても価格は硬直的であり、価格が瞬時に調整されるわけではない。価格・賃金は短期的にはゆっくりとしか調整されない。ケインズ経済学の賃金・価格の硬直性は短期の仮定であり、数年間かければ賃金・価格はやがて調整される。ただし、利子率の下方硬直性では、ケインズ的不況が短期ではなく中期(10年程度)に渡って継続される。
ケインズは、セイの法則と相対する有効需要の原理を提示し、社会全体の生産物に対する需要によって雇用量が決定されるとして、不完全雇用を伴う均衡の可能性を認める。そのさい有効需要の不足によって発生した非自発的失業は、総需要を拡大することによって解消されなければならないとした。
名目賃金の下方硬直性を説明する要因としては、相対賃金仮説、効率賃金仮説、インサイダー・アウトサイダー仮説など様々な理由が考えられている(詳しくは労働経済学を参照)。
日本では非自発的失業者の数は、1990年の33万人から2000年には102万人へと急増しており、失業者の3人に1人が非自発的失業者となっている。
構造的ないし摩擦的理由で失業している人の労働人口に対する割合を自然失業率(インフレ非加速的失業率、略してNAIRU)という。自然失業率(の解釈の1つ)は、経済が均衡状態にあるときの失業率である。
政府は公共政策により失業率を調整できるが、失業率を自然失業率以下にしようとすると、インフレが起こる。従って、インフレを起こさずに政策によって減らせる失業は循環的失業の部分だけである。
また、ジョージ・アカロフらによって、自然失業率の水準はインフレ率によって左右されることが指摘されている。これら研究によれば、インフレ率がある閾値から低下すればするほど、自然失業率の水準が高まっていくこととなる。よって、インフレ率が非常に低いないしデフレの経済において、失業率を低下させる政策が採られた場合、一時的には失業率が自然失業率を下回ってインフレを加速させるが、それによってインフレ率の水準が高まると自然失業率の水準が低下するため、失業率が自然失業率よりも高い状態になればインフレの加速も止む。このことはまた、インフレ率などを勘案せず、失業率の水準だけを見て循環的失業の規模を推計することや、産出量ギャップの大きさを判断することの危険性を示している。
失業率は総産出量(実質GDP)と潜在産出量との差をパーセント表示したもの(産出量ギャップ、GDPギャップ)に関係している事が知られている。
産出量ギャップが負の場合は、資源を完全には利用できていない状態なので、失業率は自然失業率よりも高くなる。逆に正であれば、失業率は自然失業率よりも低くなる。
なお、産出量ギャップが正の場合をインフレギャップといい、負の場合を不況ギャップという。
産出量ギャップが短期的には0にならない理由として、雇用契約が挙げられる。景気が悪化しても、企業は契約の関係上、短期的には社員の給料も下げない。したがって給料は完全雇用を達成する水準より高い水準となってしまい失業者が増加し、それにより産出量ギャップが生じる。
過去のデータから、産出量ギャップと失業率には次の関係があると推定されている(オークンの法則):
これらのように、景気は実質GDPによって決まるが、それに対し失業率は産出量ギャップによって決まる。したがって景気(実質GDP)が上昇したとしても、その上昇速度が潜在産出量のそれよりも緩やかなら、「雇用なき景気回復」(ジョブレス・リカバリー)が起こる。
最後に、失業率を自然失業率以下に下げようとし続けると何が起こるのかを見る。例えば2%のインフレを起こすと、失業率を自然失業率以下に下がる。しかししばらくすると、国民は2%のインフレ率を予想に織り込んで行動するようになる。したがって再び失業率が上昇する。失業率をもう一度下げるには、さらに高い率のインフレを起こさねばならない。しかしこの高いインフレ率もそのうち予想に織り込まれるので失業率が再び上昇してしまう。このように、失業率を自然失業率以下に抑えつづけるには、インフレを加速させ続けねばならない。
名目賃金の下方硬直性がある場合、労働需要を増加させるには物価の上昇が必要であるが、労働需要の増加によって完全雇用が達成されると、それ以上は需要が増えても物価が上昇するだけになってしまう。
次のような失業も考えることができる。
中世キリスト教世界(=カトリックの世界)では、貧しいことは「神の心にかなうこと」とされ、そういう人に手を差し伸べることは善行であった。宗教改革(=プロテスタンティズムの登場)は、こういった見方を一変させ、「怠惰と貪欲は許されざる罪」で、物乞いは「怠惰の原因」として排斥し、労働を「神聖な義務」であるとした。プロテスタンティズムの流行は貧しいものへの視線を変容させ、「神に見放されたことを表す」という見方が広がり、都市を締め出された貧民は荒野や森林に住みつくか、浮浪者となって暴動を起こすようになった。
イギリスでは1531年に王令により貧民を、「病気等で働けない者」と、「怠惰ゆえに働かない者」に分類し、前者には物乞いの許可を下し、後者には鞭打ちの刑を加えることとした。1536年には成文化され救貧法となり、労働不能貧民には衣食の提供を行う一方、健常者には強制労働を課した。産業革命が加速する18世紀まで、健常者の「怠惰」は神との関係において罪として扱われ、救貧院の実態は刑務所そのものであった。18世紀以降、キリスト教の価値観を離れた救貧活動が広がり、ギルバート法の成立やスピーナムランド制度がイギリスで成立し、救貧や失業に対する価値観はようやく変転を見せた(救貧法参照)。
産業革命以後、賃労働者の比率が高くなったことから、失業は重大な社会問題として取り扱われることとなった。19世紀のイギリスにおいては、金融と設備投資の循環から、ほぼ10年おきに恐慌が発生しており、そのたびに失業率が10%近くにまで上昇する循環があった。
20世紀に入って、この循環は次第に崩れ、1929年に発生した世界恐慌以後は、各国で失業が急増。アメリカでは一時失業率が25%に達し、社会革命が公然と叫ばれた。なお、この時の失業はニューディール政策により一時的に減少したが、政策が後退すると再び増加し、第二次世界大戦による大規模な軍需発生まで解決されなかった。
戦後、ブレトンウッズ体制の下で西側諸国は奇跡的な高度成長を達成。国家による経済政策への大幅な介入により完全雇用がほぼ達成された。1970年代に入ると、名目賃金の上昇とオイルショックの発生で供給構造が傷み、インフレーションの下で失業が増加した(スタグフレーション)。
1980年代に入ると不況からの脱出を図り新自由主義的経済政策(レーガノミクス、サッチャリズム、ロジャーノミクスなど)が導入され、労働市場が流動化した国々では経済成長率が高まったが、同時期にインフレ率抑制を目的にした金融政策が採用され、失業率は大幅に上昇した。
1990年代になり、アメリカ・イギリスは構造的な高失業から脱出したが、大陸欧州諸国は高い失業率に甘んじた。また、欧米に比べ低失業率だった日本においても、バブル経済崩壊以降の長期不況により失業が顕在化、社会問題となった。
失業を測る尺度である失業率は、労働力人口に対する失業者数の割合で定義される。一般に失業率という場合、完全失業率を指す。失業者とは「働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態にある人」を指すので、仕事探しをあきらめた人(自発的失業者)は失業者には含まれない。
なお、仕事探しをあきらめた人は就業意欲喪失者(discouraged worker)と呼ぶ。ちなみに、労働力調査では、働く意志があるとは、ハローワークに通って職探しをするなど仕事を探す努力や事業開始の準備をしていること、とされている。仕事に就けない状態には仕事をしなくても職場から給与などを受け取っている場合を含まず、こうした場合は休業者として扱われる。
パートタイムマーや職探しを諦めた人などを含む失業率に、U6失業率という統計がある。
労働力調査における失業者や失業率の定義については、「労働力調査」の項目参照。
失業率は、国全体の景気動向を知る上で重要な指標となっている。不況による失業率の上昇は、労働力が有効に活用されていないという経済的な無駄が増えていることを意味する。
失業率は様々な経済活動と関連しながら変動する労働市場においての需給の引き締め度合いを表すシグナルとなる。
失業率の抑制は経済政策の重要な目標とされる。また、失業率を減らすことは、労働の経済学の重要な課題である。
失業率は、
というの二つの側面がある。
失業率は景気と相関があると言われているが、動きが一致するとは限らない。失業率は、景気循環要因以外にも、経済構造に関連する要因によっても動く。伝統的な日本的経営のもとでは、企業は従業員の雇用を守ることを企業の社会的使命の1つと考えており、人員整理、特に解雇をなるべく忌避し、ぎりぎりまで状況を見極めようとするからである。その反面、採用についても、大企業になるほど、慎重で計画性や人員構成のバランスを重んじ、不要不急の採用は避ける傾向にある(一方で、近年非正規雇用の採用は柔軟に行っており、雇用関係指標を見る際にはその点も考慮に入れる必要がある)。
また、労働者側も、不況が長期化すると就業意欲喪失者が増加するが(不況で求人が少なくなり「どうせ就職できない」とあきらめる人が増える)、このため失業者数が減り、失業率を押し下げる要因になり、表面上は景気が回復したかに見える。逆に、景気回復局面では(景気が良くなって求人が増えるだろう、と)新規に仕事探しを始める人が現れるので、かえって就労を希望する「失業者」が増えて、失業率を押し上げることになる。
以上のようなことから、失業率は景気に対して遅行指標となっており、失業率のみならず他の景気指標を併せてみる必要がある。失業率は景気動向と比較して、通常1年から1年半送れて変動する。また、景気の先行指数の代表である株価と、遅行指数の一つである失業率は、一時的に正反対の動きを見せることがある。
中国では、経済成長率が1%下がると、100万人の失業者が生まれると試算されている。
各国の失業率及び概況を示す。ただし算定基準は日本と異なる国も多い。
失業保険の給付期間の長い国ほど失業率が高い傾向があり、給付期間が短期なほど失業率が押し下げられる傾向が顕著となる。
“各国の失業保険給付期間については雇用保険を参照のこと。”
研究チームの分析によると、2007年まで欧州では、相対的貧困レベルで世代間格差がなかった。しかし、2007年以降に欧州の65歳以上の高齢層の所得は10%増加した一方、同期間に15~24歳の若年層の所得はむしろ激減した。研究チームはその背景に「若年失業率」と指摘している。EU統計局によると、2007年にEU地域の若年失業率は15.6%だったが、2014年に23.8%まで急騰した後、2016年にも20.9%で長期間の高い若年失業率が続いている。若年失業問題が欧州で極限に達した2014年には南欧諸国でスペインの53.2%、ギリシャの52.4%、イタリアの42.7%で約半分の15才から25才が失業者であった。国際通貨基金の研究者は、「失業の呪いが長期間持続されたことで青年たちはより一層仕事を見つける難しくなっている」、「欧州の若年層は、全体の世代の中で資産に対する負債比率が最も高い世代であり、金融危機が再発した際に青年層が最も脆弱で打撃を受けることになる」と述べている。2017年に世界の青年失業率は二年連続で悪化し、13.1%だった。世界で15~24歳の若年労働者で失業中なのは2017年で7090万人、2018年には7110万人に増加することが予測されている。高い若年失業率で若者が就職難である韓国と対照的で人手不足の日本に就職する韓国人が毎年増加している。日本の厚生労働省が発表した2017年の「外国人雇用現状」で2008年には約2万人だった日本で就業した韓国人が2017年10月時点で5万5900人になって、初めて5万人越えした。2016年からの増加幅は過去最大で1年間で約8000人増加し、2008年からの9年間で約2.7倍になった。2017年の韓国の若年失業率は2000年以降最も高い9.9%で、日本を就職先として注目する韓国人が増加し、日本語の学習熱が復調している。
以下は総務省が公表している労働力調査の『15歳以上から64歳まで』と『65歳以上』を合算した完全失業者数と完全失業率との推移である。(2017年は、労働力調査(基本集計)平成29年7月分による)
1990年代以降から非正規雇用の需要が高まった背景には、バブル崩壊前の『雇用・債務・設備』の「3つの過剰」にバブル崩壊後に企業が直面したことにある。3つの過剰への処置とさて企業はリストラに着手し、人件費の抑制に注力して非正規従業員を多用するようになった。賃金体系も基本給よりも、その年ごとの企業業績に連動させやすい賞与(ボーナスなど)に給与の重きを置くようになった。2003年に野口旭によると産業構造の転換に伴う自発的失業・健全な失業率は2-3%とされている。
太平洋戦争後の長い間、日本の失業率は1-2%と低かったが、2001年時点で失業率は5%弱と以前より高くなっている。2002年に当時では日本で戦後に過去最高の完全失業率5.5%を記録、2009年7月には完全失業率5.7%と戦後の過去最高を更新した。
2000年時点で平均失業者は320万人と1990年の2倍以上となっている。
2010年の日本では、自発的失業者と摩擦的失業者の割合は3.5%程度とされている。
失業率が2%の場合、日本全体の完全失業者数は約130万人であるが、5%の場合約350万人となる(2011年時点)。2011年時点の日本の完全失業率は4-5%前後、完全失業者数は約300万人超であり、失業率を1ポイント改善させるためには、約60万人の新規雇用を創出する必要がある。
失業率は、年齢別・地域別で見るとばらつきが大きい。年齢別では若年層(15-24歳)の失業率は平均7.7%と全体平均の3.9%を大きく上回っている(2007年時点)。2009年時点で日本の10-20代前半までの世代失業率は10%に接近しているという国際機関の調査も出ている。地域別では首都圏に比べ地方の失業率は高く、東海の2.7%から北海道の5.0%まで地域間で大きく差が開いている(2007年時点)。
2016年には正規の職員・従業員が年平均 3364 万人と前年よりも51 万人の増加した。背景にはアベノミクスによる景気の上向きで新規雇用がまず非正規として創出されたため、予想よりも高い労働者需要で求職者有利な売り手市場に変化したために企業が当初の景気による雇用予定よりも人手不足になった。そのため、2015年から非正規採用者や対象だった者を正規雇用に切り替え始めたことで2年連続の増加となった。2017年には『非正規から正規への逆流』が始まり、2017年には『正規職の有効求人倍率』が1を上回って正規職のされた求人数が上回る流れに変わった。アベノミクス以降の成長率や雇用の増加率から失業率は2018年に0.9%、2019年0%近くにまでなると予測されていて、企業は空前絶後の人手不足から今雇っている非正労働者・新規採用者の正規採用への増加継続に加えて賃上げや待遇競争・脱デフレにより、デフレという物価や売り上げが減少していく時には最適化モデルだったブラック企業は労働者が集まらなるため路線の転換・倒産が相次ぐと予想されている 。
2012年から2017年までの5年の間に韓国の青年失業率が2.3%ポイント高くなって9.8%に悪化したのに対し、米国は5.8%ポイントで下落で7.2%、日本も2.6%ポイント低下した4.4%で日本の青年失業率はOECDの半分まで低くなった。
日本の労働力調査(統計)では15歳以上の人口を原数値として、労働力人口、非労働力人口を算定している。
しかるに
である。そのため
求人数が増えると就業者数が増加して失業者数が低下し、求人数が減ると就業者数が減少し失業者数が増加する。すなわち就業者数と失業者数との間にはトレードオフ(一方が増えれば他方が減る)の関係があると誤解されがちだが、かならずしも両者の間にトレードオフの関係は存在しない。これは、非労働力人口の動向が失業者数に影響を与えるためである。
失業率は、
により算出されているため、求人数が減少する中で完全失業者が就業を諦め労働市場から退出(リタイア)することで失業率が改善する可能性がある。逆に、景気が回復し始めると就業を諦めていた失業者が職探しを始めるため、一時的に失業率が悪化する場合がある。
高い失業率の問題は、国全体としての所得の低下にとどまらず、
といった痛みを人々に対して与える。
失業率と犯罪発生件数は相関があり、失業率が下がると犯罪発生件数が下がると2006年版犯罪白書で報告されている。
経済学者の橘木俊詔は「失業は人間に生じる不幸の最たるものの一つである。職を失うということは、生きるための所得がゼロになることを意味するからである」と指摘している。経済学者のジョセフ・E・スティグリッツは、失業こそ人間価値の既存を伴う最悪の事態の一つであり、これを解消することが人間の幸福を促すと指摘している。
経済学者の竹中平蔵は「最も重大な経済の問題は、明らかに失業の問題である。失業は人の生活に直接的に影響を与える。失業とは、貴重な資源が遊んでいる状態、有効に使われていない状況であり、経済の効率性という観点からこれほど非効率なことはない。失業の問題は、最大の政策課題である」「もちろん時代によって違うが、経済学・経済政策の最大の目標は失業を防ぐことである」と指摘している。
経済学者の田中秀臣は「失業者が大量に漂流すると、様々な社会的コストが発生する。生活保護の増加、最低賃金の引き下げ、親の低所得による子どもの学力低下、犯罪率の増加などである。そう言った形で社会が負担を背負うのと、税金で直接雇用するのとでは、歳出という点で代わりがない」と指摘している。田中は「経済停滞の中で効率性だけを追求すると、失業問題はさらに悪化する」と指摘している。
経済学者の高橋洋一は「失業率が下がれば、自殺率や犯罪率が低下することが知られている。さらに、生活保護率も下がる。ブラック企業も淘汰できる。いずれにしても、失業率は最も重要な経済指標の一つである」と指摘している。
経済学者の伊藤元重は「失業率という数字だけでなく、実際に失業した人がどの程度の期間、失業者の状態であるかが問題となる。失業者がどのような状況にいるのかを詳しく見る必要がある」と指摘している。
経済学者の大竹文雄は「不況では失業が発生し、努力と無関係に仕事に就けない人が出てくる」と指摘している。
アメリカの失業統計について、経済学者のスティーヴン・ランズバーグは「失業統計には、失業者の数だけでなく、平均失業期間も含まれる。こうした数値は、特定の日の失業者を調査し、失業期間を訊ねてその回答を平均して算出される。結果、過大となる。長期失業者が調査日に失業している確率は高く、短期失業者が調査日に失業している確率ははるかに小さい。よって、特定の日・週に集められたサンプルに長期失業者が相対的に多く含まれる」と指摘している。
労働者は、自分の能力に適合した職場を見つけるのが困難であったり、技術の向上に期間がかかったりするため、すみやかに転職できない。これを「雇用のミスマッチ」という。
厚生労働省の2002年度版『労働経済白書』では、2001年の完全失業率5%のうち、3.9%は構造的ミスマッチ失業であり、1.1%が需要不足による失業と推計されている。第一勧銀総合研究所の推計によると、2000年の労働需給のミスマッチによって発生した失業者数は、失業者全体の7割程度を占めているしており、雇用を改善させるためには景気回復によって労働需要を増加させるとともに、労働需給のミスマッチの解消が欠かせないとしている。
エコノミストの小峰隆夫は、ミスマッチは、1)職能、2)年齢、3)地域、4)産業、などの違いによって起こるとしている。
経済学者の浅田統一郎は「日本の『完全失業率』という指標は、欧米の指標に比べて『失業率』が極端に低く出るバイアスを持っている」と指摘している。経済学者の飯田泰之は「日本の失業統計は、就職活動を止めると失業者として計上されない。そのせいで不況下でも一時的に失業率が下がったりする」と指摘している。経済学者の原田泰は「現在(2013年)の日本の失業率は4%程度であるが、この内の1%は雇用調整助成金で失業率を無理やり抑えている」と指摘している。
経済学者の橘木俊詔らの研究によると日本の潜在失業率は10%に達するとしている(2001年時点)。
経済学者の岩田規久男は「日本経済の場合、フィリップス曲線・オーカン法則から判断すると、失業率2.5%程度が完全雇用の目安となる」と指摘している。田中秀臣は、2004年の時点で「日本では、インフレが加速しない失業率(NAIRU、非インフレ加速失業率)が2.3-2.4%程度と推測できる。NAIRUよりも失業率が高いときには、この失業率を低下させてもインフレは加速せず、デフレが解消すれば失業率は劇的に低下する」と指摘していた。また田中は2009年の時点では「日本の自然失業率は3%台前半か、2%台後半と言われている」と指摘している。原田泰は、2015年時点で「日本の完全雇用の失業率は2%台である」と指摘している。原田は2013年の時点で「日本の場合、失業率が2%に近づくと急激なインフレとなる。その直前のインフレ率が2%程度である」と指摘している。高橋洋一は、2015年の時点で「日本の完全雇用失業率は、3-3.5%程度であろう」と指摘している。
企業内失業は日本独特の現象であり、日本の統計上の失業率を低く抑えている要因と指摘されている。
飯田泰之は「日本の場合、失業率より有効求人倍率の方が労働市場の状態を表す統計として参考となる。日本では、有効求人倍率と失業率の間にラグがある」と指摘している。
1943年の『ベヴァリッジ報告書』では、完全雇用は政府の適切なマクロ経済政策によって実現されると報告されている。
池田信夫は「失業者を『労働需給に対して需要が不足して失業が起きるのは、労働市場が歪んでいるからであり、失業者に責任があるわけではない」と指摘している。池田は「『雇用対策』として雇用規制を強化するのは、労働コストを引き上げて雇用を減らすだけである。GDPを引き上げて雇用を創出することが、最大の雇用対策である」と指摘している。
経済学者の野口旭、田中秀臣は「ケインズ後の時代を生きる人々にとって、雇用・物価の変動は受け入れなければならない『運命』ではない。政府・中央銀行がマクロ経済政策によって総需要を適切に管理すれば、適正な失業率・物価上昇を維持することは可能だからである」と指摘している。野口、田中は「政府・中央銀行が、マクロ安定化という機能の行使を怠れば、そのツケは必ず手に負えないほどのデフレ・失業となってはね返ってくる」と指摘している。
明治大学国際総合研究所フェローの岡部直明は「雇用創出には、マクロ経済政策と産業政策が必要である」と指摘している。
岩田規久男は「長期的に潜在成長率が維持できなければ、非自発的失業は長期にわたって存在してしまう」と指摘している。
伊藤元重は「日本の場合、多くの労働者は企業に雇われているため、日々賃金が動いて労働供給が増減するわけではない。ただし、パート労働・アルバイト・派遣労働など、市場状況によって賃金が上下するところで経済全体の労働供給が調整されていることも事実である。また、退職年齢が近い労働者も賃金の高さによっては、退職するかどうかを選択できる。このようにマクロ的に考えると、賃金が上がれば労働供給が増え、賃金が下がれば労働供給も減ると考えられる」と指摘している。伊藤は「常識的に考えて、賃金が高ければ企業はできるだけ労働者を使わず、機械・設備に依存した生産・販売をとる。一方で、賃金が安ければ企業は高価な機械・設備を使わず、労働集約的な生産をとる。企業の生産方法や労働者に頼る活動は、賃金によって大きな影響を受ける。一般的に、賃金が安いほど企業による労働需要は増え、賃金が高いほど企業による労働需要は減る」と指摘している。
飯田泰之は「失業率が高くなればなるほど、賃下げがされやすくなる。労働者にとって待遇改善の最大の条件は、労働者が不足することである」と指摘している。
竹中平蔵は「失業の問題を拡大させずに、雇用の調整を進めるための解決策と考えられるのは、賃金を抑えるという方法である」「雇用を守るためには、賃金を抑えなくてはならない」と指摘している。竹中は「不況になった場合、賃金が下がらなければ、企業は雇用をしなくなる。労働需要が減り、失業者が大量に出る。しかし、賃金を大幅に引き下げることができれば、雇用の減少は抑えられ、失業者は増えず、社会不安も増幅しない」と指摘している。
大和総研は「名目賃金の上昇率と失業率の関係は、フィリップス曲線で逆相関となる」と指摘している。
高橋洋一は「実質雇用者報酬は、実質賃金と就業者数を掛け合わせたものであり、経済全体としてみれば、実質賃金の低下は、就業者数の増加によって補われる」と指摘している。
田中秀臣は「実質賃金は企業にとってはコスト以外のなにものでもない」と指摘している。経済学者の飯田泰之は「実質賃金の上昇は、労働者を雇う企業からすると費用の増加を意味するため、企業は労働時間の縮小や正社員の解雇で対応しようとする」と指摘している。
「賃金を上げて消費を拡大させれば、景気が回復ある」という議論について、竹中は「このような意見は、所詮ゼロサムの議論である。逆に『賃金を下げて企業の利益を拡大させれば、設備投資が拡大し、景気が回復する』と言われれば反論できない。つまり、賃金の引き上げが経済を活性化させるかは、経済状況によって決まる」と指摘している。
橘木俊詔は「低賃金にすれば失業者の数を削減できるという新古典派経済学の命題は、賃金の低い非正規労働者の増加という政策によって実行されていると解釈できる。これら非正規労働者の生活は苦しくてよいのかという課題は残る」と指摘している。
岩田規久男は「デフレ下で、企業が雇用の維持のため、賃金を引き下げると、企業にとって残ってほしい優秀な労働者から辞めていってしまう。優秀な労働者ほど転職が可能であるからである。企業にとって賃金の引き下げは最後の手段である」と指摘している。
伊藤元重は「失業が発生した場合、賃金を下げれば失業は解消されるかと言えば、現実はそう簡単なものではなく、賃金は様々な理由で動く性質があり、深刻な失業が発生しても、賃金調整が行われないことが多い(賃金の下方硬直性)」と指摘している。
野口旭、田中秀臣は「高コストの問題は名目賃金ではなく『実質賃金』の上昇であり、実質賃金が上昇すれば、企業は雇用を縮小させるしかない。つまり、完全雇用をマクロ経済的に実現させるためには、実質賃金を低下させるしかない。そのためには、名目賃金を低下させるか、物価水準を上昇させるかのどちらかが必要となる」と指摘している。
ジョン・メイナード・ケインズは、労働組合の圧力によって賃金が引き下がらない性質に着目し、「非自発的失業」の存在を指摘した。ケインズの論理では、名目賃金の低下は消費者の購買力を低下させ、更に物価下落による実質賃金の低下を抑制するため、雇用を増加させないとしており、購買力の低下は国民所得の低下を生じさせ、有効需要の低下、雇用の減少を招くとしている。ケインズの論理では、名目賃金の低下は雇用を増加させず、失業を減少させないとしている。ケインズは「需要さえあれば、普通は現行貨幣賃金の下でも雇用量は増える」と指摘している。
田中秀臣は「名目賃金の下方硬直性の緩みこそ、人員整理・解雇の増加、成果主義という建前の賃金の引き下げなど、日本の雇用環境の荒廃を示すものである」「不況期における名目賃金の下方硬直性を損ねることが、長期的な労働者のモラル・信頼性・チームワークの精神などを破壊してしまうことは、日本やアメリカで知られている」と指摘している。田中は「名目賃金を切り下げない政策が重要となる。企業の賃金は実質賃金ではかられるため、名目賃金を切り下げないで実質賃金をいかに低下させるかを考える必要がある。名目賃金を下げないとなると、残された手段は物価を上げることしかない」と指摘している。田中は「企業が雇用を増やすためには、実質賃金の下落が必要である。つまり、物価が上昇すれば雇用が増え、名目所得が増える」と指摘している。
野口旭、田中秀臣は「物価が穏やかに2-3%ほど上昇すれば、経営側の賃金コスト削減努力はかなり緩和される」と指摘している。
岩田は「労働者は、賃金の引き下げには強く抵抗するが、賃金を引き上げる場合には、賃金の上昇率がインフレ率より低くても強く抵抗しない。そのため、2-3%程度のインフレ下で、賃金上昇率をインフレ率よりも低い1%程度に抑えれば、実質的な人件費負担が軽減でき、雇用の維持・拡大ができる」と指摘している。
「雇用の流動化」とは、離職・転職のしやすさを示し、人的資源の効率的使用を意味する。
経済学では、解雇規制と失業率に関する統計調査があり、その多くが社員を自由に解雇できるようにしたほうが、失業率が下がるという結果となっている。池田信夫は「解雇しやすいほうが雇用は増える。解雇が自由なアメリカの失業率が手厚く保護しているヨーロッパの失業率よりも低いことで実証されている」と指摘している。池田は「規制強化は、『ワーキングプア』を仕事のない『プア』にしてしまう。非正社員が失業すると、失業率は上がる」と指摘している。
飯田泰之は「正社員の好待遇・解雇規制を変えないと底辺から首切りが起こる。労組系はそれでも拒絶する」「正社員の表面上の待遇を下げないで人件費を下げるために、非正規雇用が増えた」と指摘している。また飯田は「不況下で雇用の流動化政策をやると、首切りだけをしやすくする状況となる」と指摘している。
田中秀臣は「日本では、技能・専門性が高い人たちの雇用の流動性が促されるのではなく、立場の弱い人たちを企業の都合でリストラしやすくするために、雇用の流動化が利用されている」と指摘している。田中は「産業構造が高い生産性をもつものに転換できたとしても、需要が不足したままでは、失業を悪化させるだけである」「経済全体の労働需要が減退しているときに、雇用の流動化を促すことは、縮小するパイの奪い合いをさせる行為に等しい。人を失業の谷底に落としてから、自分を変えろ、失敗は自己責任だと言い放つのは問われるべき社会的罪悪である」と指摘している。また田中は「日本で派遣労働を全面禁止してしまうと、派遣で働けた労働者の仕事を奪うことになりかねない。派遣の仕組みを残し、待遇改善をはかったほうがよい」と指摘している。
岩田規久男は「労働者派遣の規制緩和が進んでいなかった場合、むしろ派遣で働く道を閉ざされ、失業者は増加したはずである。失業者が増加すれば格差は拡大する」と指摘している。
大竹文雄は「仮に失業を防ぐために解雇を抑制しても、新規採用が減る。若者の失業率が高くなることによる潜在的なコストは大きい」と指摘している。
森永卓郎は「必要なときに必要なだけ雇うのがアメリカ企業の基本原則である。アメリカは中途採用の市場が整っているので、中高年の解雇がやりやすいという違いがある」と指摘している。
日本の労働市場では、正社員を非正社員より優遇する雇用慣行を支えている判例がある(整理解雇の判例)。この判例では、会社が倒産の危機に直面し整理解雇が必要な場合でも、1)解雇の必要性、2)解雇回避の努力などの要件を満たしていなければ、正社員を解雇することができない。解雇回避の努力には正社員の解雇の前に、新規採用の抑制・非正社員の雇用契約更新の停止が含まれている。つまり、裁判所が正社員を解雇する前に、非正社員の雇い止め(派遣切り)を求めている。
田中秀臣は「日本は景気が悪くなってもなかなかリストラしない。人員配置とかよその会社に出向させるなどの手法をとっている。だから非正規雇用の人たちのリストラで調整する。ここ20年くらいで、20代後半-30代後半くらいの若い人たちがかなり増えてきた。この人たちを大きく含む現在(2010年)の非正規雇用者に対して大規模なリストラが生じてしまうと、直接生活を脅かすことになるため、それが若い世代の逼迫感にも繋がってる。アメリカやイギリスに比べて、日本の若い世代の生活価値がより低下している」と指摘している。
「正社員の賃金を下げ解雇しやすくすれば、正社員と派遣社員の垣根が低くなり、派遣社員が雇用される機会が増える」という議論について、田中は「単なる椅子取りゲームであり、正社員の賃金の低下だけで終われば、さらに景気を悪化させる可能性がある」と指摘している。田中は「企業の業績が悪化する不況期に解雇法制の規制を緩めれば、リストラしやすくなり、失業率を増加させてしまう」と指摘している。
飯田泰之は「日本は守らなくてもよい法律が多い。解雇規制は事実上大企業だけのものであり、中小・零細企業は気にしていない」と指摘している。
原田泰、大和総研は「政府に求められることは、不況期に賃上げ・雇用維持を企業に迫ることではなく、政府自体がセーフティーネットを行うことである」と指摘している。
岩田規久男は「失業し場合のセーフティーネットとして、雇用保険の加入資格拡大と公的家賃補助が有効である」と指摘している。
ドイツでは家賃補助制度などがあり、失業で突然ホームレスになることはない。
経済学者のロバート・H・フランクは「失業した場合、アメリカとドイツでは状況が大きく異なる。アメリカでは失業者が生計を立てていくのは困難であるが、ドイツでは失業者は政府から援助を受けられるため、基本的な生活を無期限に維持することができる。失業して発生する機会費用はアメリカよりもドイツのほうが少ない」と指摘している。
大竹文雄は「典型的な失業リスクに備える公的政策は、失業保険制度である。完全な失業保険があれば、人々が失業しても消費水準を下げなくてすむ。失業保険の最大の問題は、就職をする気も無い人が失業したと偽り失業保険をもらったり、真剣に職探しをしないことである。多くの国では、不真面目な失業保険需給者を排除するために、失業給付の水準を低くしたり、失業給付期間を短縮したりしている」と指摘している。
大竹は、失業給付条件の緩和・給付期間の延長は、失業者のモラル・ハザードを生みやすいと指摘している。
みずほ総合研究所は「欧州の例では、雇用保険を手厚くするとその分失業者の失業期間が長期化している。失業者が雇用機会を取得する努力を怠り、モラルハザードを引き起こす。失業給付が充実していれば失業状態を続けようとする意思が働いてしまう。失業保険を安易に拡大することは避けなければならない。欧州では、失業保険拡充の失敗を教訓に、雇用政策の重点を失業保険から教育訓練・職業紹介へ移行させている」と指摘している。
伊藤元重は「構造調整によって失業が発生した場合、構造調整に対応する形で地域的な対策、衰退産業から成長産業へ労働者が移動できるような技能取得の支援・職業の斡旋が必要となる」と指摘している。
大竹文雄は「失業が増えている分野ではなく、私たちの生活を豊かにする分野での技能訓練は有効である。具体的には、生産性を高めないが生活環境を改善する投資・公的サービスの分野である」と指摘している。
岩田規久男は「セーフティー・ネットと称して、失業者を適材適所ではない公的部門で雇用したり、役に立ちそうにない教育・訓練投資に税金を投入しても大きな無駄である」と指摘している。
森永卓郎は「職業訓練制度は必ずしも再就職の役には立たない。ホワイトカラーの場合、失業してから受ける短期間の職業訓練はほとんど意味を成さない。ただし、低賃金労働者にとっては、ワープロ・パソコンのエクセルが使えるというのは職業能力になりえる」と指摘している。
野口旭、田中秀臣は「日本の資格制度の大半は、労働者の技能を上昇させようとする意図に基づいたものではなく一種の『記号』であり、資格制度を維持することによって得られる便益のためだけに存在している」と指摘している。
田中秀臣は「深刻な失業下では、技術があっても働き口がないという状況が当たり前となる。職業訓練など人的資本の質を高める政策は、副次的な効果しかない」と指摘している。野口旭、田中秀臣は「『低生産性』産業から追い出された労働者に教育・訓練を行い、別の産業に押し込むことができたとしても、総需要が拡大しない限り、そのことによって誰かが失業するしかないのである」と指摘している。
飯田泰之は「国が直接的に職業訓練を供給するというのは、硬直的なシステムになりがちである。ガイドラインだけをつくって、民間に任せたほうがよい」と指摘している。
経済学者のダニエル・ハマーメッシュは、失業率が高くなると長期的に所得が低くなる人が多くなり、満足な生活を得られないと考えて自殺を選ぶ人が増えてくると指摘している。
中野剛志は「失業の増大は、自殺者を増やし社会を不安定化させるが、それは単に経済的に困窮するだけではなく、人間としての尊厳を破壊する。経済的な困窮だけなら役所が失業手当を支給するだけで解決する。解雇による疎外感・孤独感は、お金では解決できない」と指摘している。
澤田康幸、上田路子、松林哲也は、多くの実証研究を示した上で、経済と自殺の関係を明らかにしている。日本の場合、失業率と自殺の相関関係が他のOECD諸国に比べて大きく、男性の就業年齢層(35-64歳)では、特に失業率が自殺率を高めている、としている。また、40-50歳代男性の職業別自殺率を見ると、無業者・無業者の内の失業者において特に高くなっているとしている。国際データ・県別データでの分析によっても、失業率・個人の自己破産率が、男性(特に40-59歳)の自殺率の上昇をもたらしているとしている。
自殺予防総合対策センター室長の川野建治は「日本全国で見た場合、完全失業率と自殺率は見事に相関しているが、都道府県別にすると大分ばらつきがある。失業という自殺の危険因子に対して、福祉・周囲のサポートなどの保護因子が、地方によってまちまちだということを示している。失業率と自殺率は、例えばスウェーデンの場合、全国レベルで対応していない。失業率が上がっても自殺率は下がっていたりする。つまり、失業しても死ぬほど追い込まれることはない社会システムがあると考えられる」と指摘している。
大竹文雄は「スウェーデンは失業給付が高い上に、失業対策として職業紹介・職業訓練・公的部門での直接雇用といった積極的な雇用政策を行っている。このことは、失業率と自殺率の関係が、雇用対策のあり方によって変わってくることを示唆している」と指摘している。
経済学者の浜田宏一は「原油安という外生変数の変化は、雇用によい影響をもたらす」と指摘している。
戦前は国の「無職はお国の寄生虫」のようなスローガンに見るように、無職に対する風当たりはきつかった。大竹文雄は「高度経済成長期の完全雇用の時代は、無職で貧しいというのは、真面目に働かない場合のみ発生するという状態であった。真面目に働いても貧困に陥るという認識が日本人には無かったのであろう」と指摘している。
飯田泰之は「現在(2010年)の日本の失業率の増大の大きな原因は、デフレによる実質賃金の上昇にある。つまり、日本で増加している失業者は非自発的失業者である」と指摘している。
池田信夫は「現在(2009年)の失業保険・生活保護は、セーフティー・ネットとして不十分であり、重要なのは所得の再分配ではなく、転職機会の拡大である」と指摘している。
山崎元は「現在(1999年3月)の不況は非常に良いことである。企業倒産は必要であり、それによって失業率が高くなることをもっと肯定的に捉えなければならない。高失業率と共存できる社会にならなければならないのであり、労働者が無駄なところからそうではないところに移るためには、マクロ的なある程度の失業率が必要である」と指摘している。山崎は「民間の能率がよいところに労働者が早く移るという意味では、余計なことはする必要は無い」と指摘している。
竹中平蔵は「日本の失業については、中長期的に見ればさほど悲観的になる必要はない。理由は、人口が減っていくからである。人口が減っていく社会は、長期的に失業が深刻になる社会ではない。短期的には、職業訓練・教育を通じて、需給のミスマッチを解消させる必要がある」と指摘している。
大竹文雄は「現在(2005年)の日本状況では、一度失業するとなかなか賃金の高い仕事に就けない。若年層の失業率の上昇は、生涯所得格差の拡大に直結する」と指摘している。
UFJ総合研究所調査部は「日本の若年失業の増加は、フリーターの増加とあいまって貯蓄水準を低下させている」と指摘している。
経済学者の八代尚宏は「経済成長をしなければ新規雇用は生まれない。今雇われている人々は、経済成長をしなくてもよいかもしれないが、一番の被害者は若年層である。日本より成熟したアメリカは成長している。日本にも成長できる余地はいくらでもあり、それをしないのは、『人災』である」と指摘している。
エコノミストの伊藤洋一は「世界の中央銀行の中には『物価の安定』と同じくらい『雇用の維持』を使命としているところが多い」と指摘している。アメリカのFRBには法律上、物価の安定と雇用の維持が求められている。
高橋洋一は、「日本の雇用への取り組み方には疑問を持たざるを得ない。厚生労働省が雇用の所管官庁になっているのは経済学的には問題である。厚生労働省設置法第4条第59号『失業対策その他雇用機会の確保に関すること』と定められているので法的にはいいとしても、マクロ経済を所掌していない厚労省に真の意味での失業対策はできない。構造的失業率を低くするのはもちろん重要であるがその実行は難しい。失業率には構造的な部分と需要不足部分があるが、厚労省では後者の需要不足に対して何ら有効な手を打てない。アメリカでは雇用の最大化はFRB(連邦準備制度)の責務で、需要不足部分に対する失業率を下げることは中央銀行の責任である」と指摘している。高橋は「インフレ率が上がると失業率が下がるという関係性は明らかだが、日本では失業率を日本銀行ではなく厚生労働省が扱っているというところに大きな問題がある。失業率を出来るだけ少なく見せたい厚生労働省は、雇用調整助成金をばら撒いている。助成金をなくせば現在(2012年)の日本の失業率はアメリカと同じ7%台であり、こんなことは到底まともな政策とはいえない」と指摘している。高橋は「ミスマッチを減らすという点で厚労省の施策に意味はあるが、失業率の水準を大きく増減させるほどのものではない」と指摘している。
原田泰は「日銀は、物価の安定に制約がない限り、雇用の安定も実現させるべきである」と指摘している。
野口旭、田中秀臣は「『労働需要のミスマッチによる構造的失業』とされるものも、実際には需要不足失業の一種であり、総需要の拡大によって労働需要が改善すれば『ミスマッチ』も解消する」と指摘している。
HMG(英国政府)柏野健三訳『新福祉契約 英国の野心』帝塚山大学出版会、2008年。

会社

会社

会社(かいしゃ)は、日本法上、株式会社、合同会社、合資会社および合名会社をいう。

また、外国法における類似の概念(イギリスにおけるcompanyなど)の訳語としても用いられる。
本稿では、日本法上の会社に加え、それに類似する各国の企業形態についても記述する。
会社法施行後においては、株式会社、合同会社、合資会社および合名会社の4つが会社とされている(1号)。いずれも、登記によって成立する。
従来は、商法第2編で定められていた株式会社、合名会社および合資会社(さらに昔は株式合資会社も)に加え、昭和13年に制定された有限会社法で有限会社の設立が認められていたが、2005年(平成17年)制定の新会社法で有限会社は株式会社に統合された。それとともに、出資者の有限責任が確保され、会社の内部関係については組合的規律が適用される新たな会社類型として合同会社が創設された。
会社法が施行される前は、会社は、商法上は「商行為ヲ為スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタル社団」と定義され、株式会社、合資会社及び合名会社の3種(株式合資会社の廃止前はこれを含む4種)とされていた。もっとも、「営利ヲ目的トスル社団」で商法第2編(会社)の規定によって設立されたもので商行為をなすを業としないもの(いわゆる民事会社)も会社とみなされ、さらに、有限会社法により、有限会社も会社とみなされた。結局、学説においては、会社の定義を「営利を目的とする社団法人」としていた。
日本法上の会社の通有的性質として、営利を目的とする社団法人であるという点が挙げられる。
明治時代、「会社」の語は、英語のcompanyの訳語としても用いられる一方で、大陸法の組合=会社概念(羅societas、仏socit、独Gesellschaft)の訳語として用いられた。すなわち、旧民法財産取得編第6章「会社」は会社契約(現在の組合契約)の規定を置き、民事目的の会社、すなわち民事会社(現在の民法上の組合。ただし、営利目的・事業・職業目的に限定される点、法人化することができる点において現在の新民法とは大きく異なる。)について規律し、商事目的の会社、すなわち商事会社については商法に規定を委ねていた(ただし、民事会社であっても「資本を株式に分つとき」は商法の規定が準用された。)。そして、これを受けて商法は会社(商事会社)として合名会社や株式会社の規定をおいた。
明治29年制定の新民法においては、政府案においてはやはり「会社」の語が用いられたが、衆議院にて「組合」に改められた。こうして、民法の「組合」と商法の「会社」というように、異なる語が用いられることとなったのである。
当初、商行為主義が採られていたことから、商法上は、会社とは、商行為を業として為すを目的とするもの(いわゆる商事会社)に限られる一方で、民法において、商法の会社の規定に従って営利目的社団法人(合名会社や株式会社)を設立することができる旨の規定がおかれ(いわゆる民事会社)、後に、商法にも民事会社の規定が置かれて商事会社と同様に商人として扱われることが明確化され、ついには民法から民事会社の規定が削除されるに至り、現在の会社法では商行為目的か否かによる区別は全くおかれていない。
2008年(平成20年)10月末現在、会社法上の会社は334万1000社(清算中の会社を除く)あり、うち株式会社(特例有限会社を除く)が139万4000社、特例有限会社が183万社、合名会社が1万8000社、合資会社が8万5000社、合同会社が1万4000社である。
また、2007年(平成19年)において、会社法上の会社の設立件数は10万1981件、うち株式会社が9万5363件(93.5%)、合名会社が52件(0.0%)、合資会社が490件(0.5%)、合同会社が6076件(6.0%)であった。
以下の法人・団体は、会社と同種のもの又は会社に類似するものであり、いずれも商法上の商人と位置付けられる。
以下の法人は、名称に「会社」を含んでいる、もしくは持分会社の規定を準拠しているという特徴を有するが、いずれも会社ではなく、商法上の商人にも該当しない。
アメリカ合衆国における企業形態で、最も一般的なのが、コーポレーション (corporation) であり、法人格を有し株主の有限責任が認められている点で日本の株式会社に近い。
公開会社 (publicly held corporation) の数は1万社から1万5000社、一方、閉鎖会社 (closely held corporation) は400万社以上と推定されている。公開会社は数の上では少ないが、1万社前後の公開会社によってアメリカの事業資産の90%以上が所有されているとされる。
ジェネラル・パートナーシップは、無限責任を負う組合員(partner)のみからなり、リミテッド・パートナーシップは無限責任組合員(general partner)と有限責任組合員(limited partner)からなる。1994年統一パートナーシップ法によると、ジェネラル・パートナーシップは、物的財産及び人的財産をその名において所有し、また、その名において訴え、あるいは訴えられることができるなどとされている。
また、1970年代以降に各州で生まれたLLC (limited liability company) は、出資者全員の有限責任が認められると同時に、機関設計や意思決定手続が柔軟で、パススルー課税が認められることから、近年、中小規模の会社形態として選ばれることが増えている。
2006年会社法(Companies Act 2006)上の会社(company)は以下のように分類される。このほか、特別法や勅許による会社(company)が存在する。
また、次のような分類もある。
このほか、ジェネラル・パートナーシップは、無限責任を負う組合員(partner)のみからなり、合名会社に相当する。リミテッド・パートナーシップは無限責任組合員(general partner)と有限責任組合員(limited partner)からなり、合資会社に相当する。また、各組合員の責任が限定されたリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ(limited liability partnership; LLP)も創設されており、これは法人格を有する点で他のパートナーシップと異なるが、合同会社や有限責任事業組合に相当する。
ドイツ法上、組合(Gesellschaft)(会社(Handelsgesellschaft)を含む。)は資本会社と人的組合(:定訳は人的会社だが、ここでは便宜上このように訳す。)に区別される。また、会社(Handelsgesellschaft)のうち、人的組合であるものは、人的会社(Personenhandelsgesellschaft)という。
フランス法においては、民法典により、組合(socit;「会社」との訳もある。)は、「出資から生じることのある利益を分配し、又は節約の利益を得るために、共同事業に財産又は労務を出資することを契約により合意する2名又は数名の者によって、設立される。」として、民事組合(socit civile;「民事会社」との訳も)と匿名組合(socit en participation)が規定されている。さらに、商法(Code de commerce)により、組合のうち、形態又は目的に照らして商事性を有するものは会社(socit commerciale;「商事会社」との訳もある。)とされる(なお、会社法(la loi no 66-537 du 24 juillet 1966 sur les socits commerciales;「商事会社法」との訳もある。)施行前は原則として商行為を目的とするか否かにより商事性の有無が区別された。)。会社(商事会社)は、登記によって法人格を取得する。また、会社(商事会社)は、商人として扱われることとなる。
その形態によって、目的にかかわらず当然に会社(商事会社)とされるものは以下のとおり。
以上のほか、民事組合(民事会社)(;SC)や匿名組合(;SEP)、事実上の会社(socit de fait)については目的によって会社(商事会社)とされ得るが、いずれも法人格を付与されることはない。
会社法(la loi du 10 aot 1915 concernant les socits commerciales)によると、商行為を目的とする組合(socit)が会社(socit commerciale)(「商事会社」との訳もある。)である。また、民事目的においても合名会社、(単純)合資会社、株式会社、株式合資会社、有限会社又は協同会社を設立することができ、その場合にはその取引は商事的なものとして商事法・商慣習に服することとなる(日本におけるかつての民事会社に相当)。
欧州経済領域において欧州会社法に基づく企業形態
その他のEU規則に基づく企業形態
各国の主として営利目的に利用される一般的な会社・組合の形態をおおざっぱに整理したものである。

安全

安全

安全(あんぜん、、セイフティ、 セキュリテ
)に関して、安全の国際標準の定義「許容できないリスクがないこと」と、「危険をゼロにする(絶対安全)」について解説をする。

概説では、安全を、一般の人々がどのように考えているのか、工学分野の研究者・技術者が20世紀後半(1900年代後半)から最近(2014年時点)においてどのように考えていたかを紹介する。次に、安全の定義や、安全を達成するためのリスクマネジメントについて紹介する。「命や財産を保護すること」という意味については、「セキュリティ」または「保安」を参照。
1971年、イザヤ・ベンダサンは著書『日本人とユダヤ人』の冒頭章「安全と自由と水のコスト」の中で、「日本人は安全と水は無料で手に入ると思い込んでいる」という、駐日イスラエル公使館(伝聞当時)のある書記官の言葉を紹介した。
この冒頭章について、向殿政男は、「ユダヤ人は大切な自分の生命を守るためならば高額な費用を払ってでもホテルに居住したりするのに対して、日本人はこれまで安全は自然と守られているもの、又は 誰かが守ってくれるものと考えていたので、
安全を意識もせず、民族ごとに大きな違いがある、ということにも気づいていなかった日本人に初めて強烈な衝撃を与えた。」と、紹介している。歴史的・地政学的・宗教的・文化的に異なっている民族間では、安全についての意識が異なっており、それは国ごとの 安全に関連する法律・規制、技術や商習慣、合意形成プロセスの違いとなって現れている。
科学技術における「安全」の定義は国語辞典での定義と異なっており、時代と共に変化もしている。1950年前半から1980年後半まで、安全性の研究は、信頼性の研究の一部であった。1970年代、世界各地でプラントの重大事故が発生した。1976年に発生したイタリアのセベソ事故をきっかけとして、当時の欧州委員会(EC、後の欧州連合(EU))が1982年にセベソ指令(欧州指令)として、欧州統一の安全規格を策定した。1990年、国際基本安全規格第1版(ISO/IEC GUIDE 51:1990)が策定され『「品質は安全の同義語ではなく、品質規格と安全規格のそれぞれの役割を混同すべきではない。」「絶対安全は存在しない。」』と宣言した。そして、安全とは「受容できないリスクがないこと」と定義された。その後、1999年に、ISO/IEC GUIDE 51:1999が発行されたが、安全の定義に変更はなかった。2014年、ISO/IEC GUIDE 51:2014で「許容できないリスクがないこと」と定義が改定された。しかしながら、日本では現在においても、『消費者の多くは、安全といえば一切危険は存在しないという絶対安全を考えている人が多く、リスクの概念や消費者責任の意識に乏しく、ただ騒いだり不安になったりするだけの傾向もある。特に報道機関も含めて、過剰対応としか思えない例もある』と向殿政男は書いている。→#「安全」の用法や定義
安全を扱う学問には安全学や安全工学がある。→#学問
安全の用法や定義は、領域ごとに定義の仕方が異なっている。
各国ごとの個別の歴史・地理などを踏まえるとどのように考えられるようになっているか
また、最近世界でどのように整合化が進みつつあるのか
、ひとつひとつ見てゆく。
とりあえず、国語辞書(定義宣言や意見表明をするのではなく、基本的に、当該言語圏である言葉が使われてきた実際の歴史や、現状で一般の人々の間で頻度の高い使用法(言葉の用法)は実際はどのようなものなのか学問的に説明する役割・任務があるとされている書物)の説明を見てみる。
「人とその共同体への損傷、ならびに人、組織、公共の所有物に損害がないと客観的に判断されることである。ここでいう所有物には無形のものも含む。」
一般社団法人 電子情報通信学会によれば、『1950年代前半にアメリカ軍を中心にして信頼性の研究が開始され、1980年代後半になり信頼性研究から安全性研究が独立するようになった。』
1990年、国際基本安全規格第1版(ISO/IEC GUIDE 51:1990)が発行され、安全(safety)とは「受容できないリスクがないこと(freedom from unacceptable risk.)」と国際的定義がなされた。
2014年、国際基本安全規格 (ISO/IEC GUIDE 51:2014)で定義が改定され、安全とは「許容できないリスクがないこと(freedomfromriskwhichisnottolerable NOTEForthepurposesofthisGuide,theterms”acceptablerisk”and”tolerablerisk”areconsideredtobesynonymous.)」としている
。また、同規格では「許容可能なリスク(tolerable risk)」は、「level of risk which is accepted
in a given context based on the current values of society (その時代の社会の価値観に基づき、特定の(所与の)コンテキストにおいて受け入れられている水準のリスク)」と定義している。また、リスク(risk)は「危害の発生確率及びその危害の程度の組合せ」。危害 (harm) は、「人の受ける身体的傷害若しくは健康傷害,又は財産若しくは環境の受ける害」と定義している。
労働安全衛生マネジメントシステムの国際標準はOHSAS18001であったが、2014年時点では、ISO/CD 45001:2014(労働安全衛生マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引)が審議されており、安全の定義は、国際基本安全規格ISO/IEC GUIDE 51:2014の「許容できないリスクがないこと」に統一される見込みである。
福岡労働局・労働基準監督署は、配布物「絶対安全はあり得ません!」において、「リスクアセスメントに取組み 安全で快適な職場づくりを目指しましょう」と書いている。
安全問題を扱う学問としては安全学や安全工学がある。2000年2月に、日本学術会議より「安全に関する緊急特別委員会報告」において、社会の安全をより確実なものにするために、従来の安全工学的なアプローチを拡大して、より広い立場からの「安全学」を構築することが提案された。
なお、関連する学問として失敗学もある。
安全(許容できないリスクがない)を実現するためには、以下のステップを繰り返すが必要がある
リスクの特定手法およびリスク分析手法には、トップダウン手法とボトムアップ手法がある。「モノづくり」の安全分野において、トップダウン手法としては、一般的なFTA (フォルトツリー解析) や、原子力分野で使われているETA (事象の木解析、) などがある。ボトムアップ手法としては、FMEA(故障モード影響解析)などがある。
リスクの許容判定方法では、一般には影響の大きさと、影響の頻度から求める。
影響の大きさとしては人を基準にして多数死傷~軽症、頻度としては隕石で死ぬ頻度から、交通事故ぐらいまでで考える。対象分野によっては、回避性などを考慮する場合がある。
リスク対応では、そのリスクが許容できない場合はリスクを許容できるまで低減・回避させる。低減方法には、本質安全と機能安全などがある。
安全文化
(あんぜんぶんか、英:safety culture)の概念は、『国際原子力機関(IAEA)の国際原子力安全諮問グループ(INSAG)が、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故に関しとりまとめた「チェルノブイリ事故の事故後検討会議の概要報告書」(INSAG-1、1986)において取り上げられ、その後国際的な場で広く議論されるようになった』
日本国内における安全文化と、欧米での安全文化は異なる、と言われている。日本では「人の努力」や「メンテナンス」、「改善」によって安全を担保しようとするのに対し、欧米では「人はミスする」「機械は壊れる」という前提に立って安全を考える。
日本の安全文化は「性善説」で、欧米の安全文化は「性悪説」と見なすことができる
日本では発生件数を減らすという点を重視しており、欧米では重大災害が起こらないという点を重視している。
国家における安全基準は、安全を担保するものではない。『国家における安全基準は、最低限の規制基準であり、事業者は、これを満たすのは当たり前である。事業者は、危険源を網羅し、いかに安全レベルを高めるかが使命である。安全確保の第一義的責任は事業者にある。
技術基準のあるべき姿は、「State of the Arts(常に最新の知見に基づき改善し、高みを目指す)」である

機械や道具の安全が保てる負荷の範囲を安全率と呼ぶ。
安全衛生、
環境の安全、国家の安全(安全保障)、安全基準、安心安全

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